江戸連講

2023年8月講「江戸の旅と食」

日 時:8月12日(土)午後2時~4時
場 所:東京ウイメンズプラザ第二会議室&オンライン(Zoom)配信
講 師:青木直己氏
会 費:会場参加 会員1,000円、非会員1,500円
    Zoom参加 会員500円、非会員1,000円

報告

8月講は、青木直己講師の「江戸の食と名所と旅」で、参加者は現地17名、Zoom 15名でした。
江戸時代の庶民は旅行好きで、思っていたよりも色々な場所に旅に行っていたことを知りました。信仰のために、遠くは伊勢神宮へお伊勢参りに行ったり、関所手形が必要ない近場(武蔵御嶽神社や秩父三峯神社など)に行ったりしました。旅の行程はもちろんのこと、旅の楽しみである食について、何を食べたかの記録が詳細に残っていることが非常に興味深かったです。歩いて旅をするには、エネルギー補給は必須であり、せっかく食べるならその土地の名物を食べたいと思うのは、今も昔も変わらないのでしょう。また、14代将軍徳川家茂が幕末に江戸から大坂へ行った際に、庶民と同様に、土地の名物を食べていたことは面白かったです。講師の著書『幕末単身赴任 下級武士の食日記』を読み、NHKの時代劇「幕末グルメ ブシメシ!」も見たことがあるため、別の機会に武士の食に関する話も伺いたいと思いました。

以上     文責:山本 秀美



2023年7月講「平家物語」

日 時:7月15日(土)午後2時~4時
場 所:東京ウイメンズプラザ第一会議室&オンライン(Zoom)配信
講 師:川島信子氏   琵琶奏者
会 費:会場参加 会員1,000円、非会員1,500円
    Zoom参加 会員500円、非会員1,000円

報告

7月講は、川島信子講師の「琵琶~その音と語りの世界~」で、参加者は現地38名、Zoom 9名でした。講師は桐朋大学芸術学科卒業。薩摩琵琶を鶴田流、岩佐鶴丈に師事。一日体験教室「まなびわ」を毎日開講中。NHKの「邦楽のひととき」出演。琵琶楽コンクール上位入賞多数。古典のみならず洋楽器と共演し現代音楽にも挑戦し幅広く活動されています。
講演の内容は実演①「祇園精舎」琵琶という楽器について(余韻の音が琵琶の魅力。聞くぞという心構えがあれば良さが伝わる。歌ものと語り物、琵琶は物語を伝える語り物)実演②「那須与一」何故、琵琶で平家物語を語るのか(与一は曲中17歳。人が死なない物語が良い)実演③「壇ノ浦」琵琶の可能性について(薩摩琵琶の流れをくむ鶴田流の創始者である鶴田錦史が1965年の映画「怪談」のために作った。今迄の琵琶には無かった革新的な演奏をした。弦の太さ、撥を本体に当てる等)実演④「花嫁人形」(「なぜ泣くのだろう」を物語として琵琶の音色と共に伝えたい)のスケジュールでした。実演を堪能するとともに講師の琵琶に対する愛情を感じる講演でした(質疑応答では多種多様な質問が多数ありました)。

以上     文責:小嶋 光



2023年6月講「黄表紙を楽しむ(続編)」

日 時:6月18日(日)午後2時~4時
場 所:東京ウイメンズプラザ第二会議室&オンライン(Zoom)配信
講 師:神山直樹氏  江戸連会員
会 費:会場参加 会員1,000円、非会員1,500円
    Zoom参加 会員500円、非会員1,000円

報告

6月講は、会員の神山直樹講師の「黄表紙を楽しむ(続編)」で、参加者は現地15名、Zoom 16名でした。2月講「黄表紙を楽しむ」が大変好評で、駆け足となってしまった「私の選ぶ黄表紙10選」を、あらためて聴くことができました。
黄表紙というジャンルを切り開いた最初の作品や、あの大田南畝に「古今の大出来大出来」と評された山東京伝の出世作、黄表紙の最高傑作と言われる作品など、バラエティに富んだ10の黄表紙について、あらすじ、表紙、名場面を中心に説明を受けました。黄表紙を理解するためには、当時の流行や中国の詩、歌舞伎や能など、色々な知識が必要でかなり手強いですが、江戸時代の人々が黄表紙の何を楽しんでいたのか、垣間見ることができた気がします。絵の余白に文章が配されているため場面の想像はしやすいですが、ひらがなやカタカナが多用されているのに、読めそうで読めません。古文書を勉強中の私は何とも歯がゆい気持ちになりましたが、江戸時代の人々と同じように、駄洒落やナンセンス、パロディを純粋に楽しもうと思い直しました。

以上     文責:山本 秀美



2023年5月講「江戸を制覇した醸造業~“酒は関西もの、醤油は関東もの”の何故?」

日 時:5月21日(日)午後1時30分~3時30分(※開始時間がいつもと違います!)
場 所:東京ウイメンズプラザ第一会議室A&オンライン(Zoom)配信
講 師:宮川都吉氏  江戸連会員・農学博士
会 費:会場参加 会員1,000円、非会員1,500円
    Zoom参加 会員500円、非会員1,000円

報告

5月講は、会員で農学博士の宮川都吉講師の江戸を制覇した醸造業「酒は関西もの、醤油は関東もの」は、なぜ?で、参加者は現地21名、Zoom 14名でした。今回の講演の基は日本酒の講演もしている宮川講師に「同じ醸造の醤油の話は」とのアプローチがあっての事だそうです。酒も醤油も同じ醸造業であるが、酒造りは難しいが結論です。醤油醸造は紀州の漁師が銚子に移住し、関西の醤油製造法を伝えた。下総(銚子・野田)で醤油醸造が成功したのは、①原料(大豆、小麦)の調達が容易、②干鰯を資金源とした大規模化、③江戸への舟運の利便、④江戸の食文化に最適な調味料、⑤高濃度の塩により腐造の恐れなく比較的容易に醸造産物が得られる。対象的に塩を使わない酒の醸造には、極めて高度な技術が必要。江戸の酒造業は関西酒造技術との差は大きく、火入れ処理と製品管理の初歩的な問題で多くの酒屋が破綻した。醸造の工程は似ているが、醤油は耐塩性の微生物、酒は水と技術が核心だと思いました。
(講師私見、なぜ醤油醸造に小麦が使われるか?)小麦に含まれる蛋白質(グルテン)がうま味物質グルタミン酸となり、醤油諸味に大量蓄積するため、との見解は「味の素」の商品化の事と共に興味深かった。

以上     文責:小嶋 光



2022年度総会および4月講「西宝珠河岸・小流寺縁起から利根川東遷を再考する」

日 時:4月23日(日)13:30~16:00
    13:30~14:00 総 会「2022年度活動報告と決算・2023年度活動方針と予算・その他」
        *欠席の場合、代表理事圓山さん宛てに「江戸連理事会」へ委任状を送信して下さい*
    14:00~16:00 講演「西宝珠河岸・小流寺縁起から利根川東遷を再考する」
        講 師:新實正義氏(江戸連会員)
場 所:東京ウイメンズプラザ 第一会議室
会 費:会場参加 会員1,000円、非会員1,500円
    Zoom参加 会員500円、非会員1,000円

報告

4月講は、会員の新實講師の庄和町・西宝珠河岸「小流寺縁起」から利根川東遷を考えるで、参加者は現地18名、Zoom 9名でした。まず、今回の講演の基となる「小流寺縁起」考の著者、所利喜夫が講師の新實さんの奥様の従兄であり、毎年、年始の時に酒を酌み交わしていたという偶然に感嘆の声が響きました。4年程前にご逝去したため、直接話を聞けなかったそうです。
 1. 東遷事業肯定説(歴史的な資料はなく、幕府は国策として施工したことを実証しなければならなかった。基本的に再検討)
 2. 東遷事業疑問説(江戸初期についての論文はおおむね「新編武蔵風土記稿」や「下総国旧事考」といった後代の記述に基づいており、同時代の確実な文書、記録による研究の必要性が強調された)
 3. 東遷事業否定説(事業の最大の狙いは舟運の開発と安定であり、常陸川への利根川の放出はその結果としての現象で当初から目的化されたものではない)
「小流寺縁起」を読み解くことにより、1~3の説を確定できるかとの講演だと理解しました。質疑応答は熱の籠った議論となりました。今回の講演もそうですが、新實講師の膨大な資料の読み込みには感服します。

以上     文責:小嶋 光



2023年3月講「江戸の上水道はどのように整備されたのか」

日 時:3月19日(日)午後2時~4時
場 所:東京ウイメンズプラザ&オンライン(Zoom)配信
講 師:金子智氏  東京都水道歴史館 企画調査責任者 近世考古学専門
著 書:「お江戸の町の上水と下水」「江戸の上水整備とその技術」「近世城郭の瓦」
    「近世城郭の考古学入門」他、多数
会 費:会場参加 会員1,000円、非会員1,500円
    Zoom参加 会員500円、非会員1,000円

報告

3月講は、金子智講師の江戸の上水道はどのように整備されたのかで、参加者は現地21名、Zoom 17名でした。金子講師は、東京都水道歴史館の企画調査責任者で近世考古学専門(発掘調査)、著書は「お江戸の町の上水と下水」「江戸の上水整備とその技術」「近世城郭の瓦」「近世城郭の考古学入門」他、多数あります。日本に本格的な上水道が整備されるようになったのは、江戸時代。各地に造られた上水道の中で、最も大規模なものが徳川幕府のお膝元、江戸の上水との事から始まりました。江戸に上水が整備されることになった大きな理由は、人口が増えるまでは井戸(堀井戸)や湧水だったが、人口増に伴う飲料水の不足により別の場所から清浄な水を引いてくる必要があったため。神田上水は『寛永江戸全図』や『江戸図屏風』に描かれていて一番古い上水。溜池上水は『江戸図屏風』にも描かれている他に、江戸市中の発掘調査でその痕跡と思われるものがいくつか発見され、考古学的に立証された。玉川上水の完成後その分水として青山・三田・千川の3上水、亀有上水(本所上水)も造られ、神田上水と共に「江戸の六上水」と呼んでいる。しかし神田・玉川上水以外はほどなく一斉に廃止となった。明治31年、淀橋浄水場完成の3年後まで神田・玉川上水は使い続けられた。
内容の豊富な講演で、詳細(発掘調査等)について、また講演をお願いしたいと思いました。

以上     文責:小嶋 光



2023年2月講「黄表紙を楽しむ」

日 時:2月23日(木・祝)午後2時~4時
場 所:東京ウイメンズプラザ&オンライン(Zoom)配信
講 師:神山直樹氏(江戸連会員)
会 費:会場参加 会員1,000円、非会員1,500円
    Zoom参加 会員500円、非会員1,000円

報告

2月講は、神山直樹講師の「黄表紙を楽しむ」で、参加者は現地23名、Zoom 17名でした。
古文書連の講師でもある神山講師は「黄表紙のファンであり」「私はこうして黄表紙を楽しんでいます」との始まりでした。黄表紙の特徴としては<大人向けの絵本である>に尽きるとのこと。<なぜ黄表紙というか>表紙が萌黄色で「青本」と呼ばれていたが植物染料のため褪色が早くすぐ黄色になった。<黄表紙の手法>しゃれ、うがち、逆転、誇張、パロディーなど個々の場面の絵や文章に仕掛けた作者の工夫を発見し楽しむこと。<歌舞伎・遊里を知らないとわからないことが多い>現代の読者には謎解きのようなところも多い。<江戸で出版された>地本(問屋)江戸の地で刊行された出版物。草双紙、浄瑠璃本、洒落本、人情本など。書物(問屋)「物の本」と呼ばれる仏書、儒書、漢籍、国文学など京、大坂の版元の支店。など項目に沿った実際の黄表紙の絵での説明でした。
黄表紙の変遷、黄表紙の作者たち等の説明に、時代背景に大きな影響を受けていたことが理解できました。私の選ぶ黄表紙10選は説明時間が無くなり駆け足となり、次回を期待する連衆も多いのではないでしょうか。

以上     文責:小嶋 光



2023年1月講「池上七福神めぐり」

日 時:1月7日(土)午後1時
集合場所:東急池上線 池上駅南口
行 程:曹禅寺~微妙庵~本光寺~厳定院~本成院~妙見堂~養源寺
    約5.5Km 3時間~3時間半
その他:案内図当日配布、新年会はありません
参加費:会員1,000円、非会員1,500円

報告

1月講は池上七福神めぐりで、天気予報がハズレ晴天に恵まれた街歩きとなり、外部の方も含めて19名が参加されました。案内役の松本氏、小嶋により東急池上線池上駅南口を出発。最初は、曹禅寺(布袋尊)にお参り。池上線のガードを潜り抜け微妙庵(毘沙門天)に到着。ここで、圓山代表理事の新年の挨拶がありました。次は第二京浜の大通りを横切り少し上り坂を歩き本光寺(大黒天)に。この大黒天は以前池上警察署裏の馬頭観音堂にあったようで、まだ新しいお堂でした。再度第二京浜を渡り池上梅園にて小休止。厳定院(弁財天)をお参り。その後、新実さんの手作り資料「池上本門寺を散策してみませんか」により日蓮聖人御荼毘所跡に建立された多宝塔、狩野探幽墓所、紀州徳川家墓所等解説付きの散策を楽しみました。後半は本成院(福禄寿)にお参り。池上本門寺総門内にて松本さんの説明後、参加者の足腰を考慮して、池上会館のエレベーターを使用しての移動予定でしたが、江戸連のぼり旗を先頭に、96段の此経難持坂を健脚の人が上りました。妙見堂(樹老人)お参り後も急な階段である妙見坂を元気に下りました。最後の養源寺(恵比寿天)には寒桜?も咲いており、華やかに無事七福神廻りを終える事ができました。
今回も渡辺さんによるZoomライブ配信を試行実施し7人の方に視聴して頂きました。ご意見を参考に今後も活動できれば良いと思います。

以上     文責:小嶋 光



2022年12月講「江戸の芸能を楽しむ」

日 時:12月10日(土)午後2時~4時
場 所:堀切菖蒲園「静観亭」およびオンライン(Zoom)配信
演 目:・江戸の大道芸 光田憲雄氏&神田鶴和女史、他。大道芸伝承家
    ・落語     花伝亭長太楼師匠 江戸連会員
会 費:会場参加 会員1,000円 非会員1,500円
    Zoom参加 会員500円 非会員1,000円

報告

12月講は恒例の「江戸の芸能を楽しむ」で参加者は現地14名、Zoom 13名でした。落語はご存じ花伝亭長太楼師匠の「へっつい幽霊」「御神酒徳利」の2題。幽霊話と占い話(眉唾)で合間に鑑賞した大道芸との繋がりを感じました。
大道芸は1. 物売り(納豆、浅利、魚、飴、七味唐辛子) 2. 六魔(人相、手相観) 3. 南京玉すだれ 4. 地獄極楽(説法?) 5. 女霊媒師 6. 心霊護符売り(心霊術)等、盛たくさんの出し物を楽しみました。
会場は広く、小人数の観客でしたが、浅草演芸場?の雰囲気を少し味わうことが出来、笑う門には福来るでした。

以上     文責:小嶋 光



2022年11月講「紅葉の小石川植物園散策」

日 時:11月19日(土)午後1時半
集合場所:小石川植物園正門
(小石川植物園の場所がわからない方は、午後1時10分に丸ノ内線「茗荷谷駅」改札口→圓山さんが案内)
ガイド役:長田敏行氏(元小石川植物園長・元東大理学部教授、江戸連会員の宮川氏友人)
参加費:会員1,000円、非会員1,500円(小石川植物園入園料込み)

報告

11月講は、長田敏行講師の晩秋の小石川植物園を散策するで、参加者は現地38名でした。講師は元小石川植物園園長(17代、19代の二度)・東大理学部名誉教授、法政大学名誉教授、会員の宮川さんの友人で植物園の歴史や植物の一つ一つに至るまで何でも知り尽くしている方でした。小石川植物園は徳川綱吉将軍就任前の白山御殿敷地(面積5万坪)であり、現在地は最大時であった吉宗時代の面積をほぼ反映している(48,880坪)。
江戸時代の御薬園変遷の中で南北(和気流・丹波流)の御薬園の栽培植物が小石川に移された。江戸期、小日向には切支丹屋敷が設けられていたり、江戸以前では貝塚が発見されたり古墳があったりで、昔から人々が住んでいた所であった。
植物園内には貴重な植物が多く、歴史的なメンデルのブドウ、リンゴ(ニュートンの庭に生育)があった。特にイチョウは平瀬作五郎が精子を発見した大イチョウも見学。イチョウは中生代には世界中に広まっていたが(日本にも500万年前には生育)、気候変動で恐竜の絶滅時に全滅に近かったが中国南西部のみに残った。日本にはこれが平安時代に入って来た。現在のイチョウは自然に増えたのではなく人の力で増えた。などの歴史的説明を楽しく聞きました。今回、野外講習でのZoom中継のテストを実施、問題点の確認まで行いました。久しぶりの江戸歩き、多数の参加者で園内は拡声器使用不可とのこともあり、なかなか講師の声も届かない所もありました。Zoomの現地使用も検討課題と思いました。

以上     文責:小嶋 光



2022年10月講「佐賀鍋島の伝統文化」

日 時:10月29日(土)午後2時~4時
場 所:東京ウイメンズプラザ第2会議室&オンライン(Zoom)配信
講 師:荻原延元氏(江戸連会員) 日本画家。川村学園女子大学名誉教授
会 費:会場参加 会員1,000円、非会員1,500円
    Zoom参加 会員500円、非会員1,000円

報告

10月講は、荻原延元講師の佐賀・鍋島の伝統文化で、参加者は現地17名、Zoom 21名でした。
まず、武蔵野美術大学日本画学科の後輩である鈴田滋人氏との出会いとその後についての興味深い話から始まりました。鈴田滋人氏は日本画家の道を志すも父が鍋島更紗研究から考案した、独自の木版摺更紗技法を継承して染織の道に進み、2008年に若干54歳で重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された方です。この方との関わり合いから講師は佐賀・鍋島の磁器、鍋島更紗にのめり込んで行かれました。
鍋島家による日本初の磁器生産、伊万里焼とヨーロッパの磁器との関わり、御用窯による鍋島様式の確立などスライドに合わせて歴史、制作工程が良く分かる説明でした。鍋島更紗については父上鈴田照次氏の業績と鈴田滋人氏の現在の工房での作成方法の説明などをしていただきました。また、講演後貴重な更紗の帯、袱紗などの現物をお持ちいただき現地参加の会員には眼福のひと時でありました。

以上     文責:小嶋 光



2022年9月講「感染症の歴史と江戸時代の施策」

日 時:9月11日(日)午後2時~4時
場 所:東京ウイメンズプラザ第1会議室B室&オンライン(Zoom)配信
講 師:宮原一敏氏(江戸連会員)
会 費:会場参加 会員1,000円、非会員1,500円
    Zoom参加 会員500円、非会員1,000円

報告

9月講は、宮原一敏講師の「感染症の歴史と江戸時代の施策」で、参加者は現地17名、Zoom 23名でした。
感染症の定義から感染症の分類、歴史。感染症の歴史は人類の歴史、人類の移動とピロリ菌の拡散は同じ経路と見られるがピロリ菌のほうが先に存在していたのではないかとの説明。縄文人と弥生人のDNAの違いからY染色体ハプロタイプ解析の話。江戸時代の感染症、御役三病(疱瘡、はしか、水疱瘡)三日コロリと江戸幕府の対応についての説明。新型コロナウイルスと今後についてでは、今迄の感染症の歴史から「微生物と共生出来る生物だけが、自然に選ばれ進化できたのかも知れない」「新しい生活様式」の中で生きてゆくのだとの私見。講師の日本人のルーツに関する思いの強さを感じる講演でした。 また、通常の質疑応答とは趣が異なり、会員である水越さんよりの専門家としての講演資料の補完、補正の提言時間も今回の講演と共に有意義でした。

以上     文責:小嶋 光



2022年8月講「西宝珠花河岸の釜屋商人」

日 時:8月6日(土)午後2時~4時
場 所:東京ウイメンズプラザ第1会議室B室&オンライン(Zoom)配信
講 師:井上晃氏(江戸連会員) 山口県岩国在住
会 費:会場参加 会員1,000円、非会員1,500円
    Zoom参加 会員500円、非会員1,000円

報告

8月講は、会員の井上晃講師の「西宝珠花河岸(にしほうしゅはなかし)の釜屋商人」で、参加者は現地18名、Zoom 22名でした。
井上氏のご先祖様は、釜屋商人の釜屋中島久七(釜久商店)であるとのこと。近江辻鋳物師が起源である近江日野商人の一派、釜屋商人たちは埼玉県の西宝珠花河岸に多く住んでいた。西宝珠花河岸は、江戸への舟運の輸送拠点である江戸川・利根川水系に位置し、行きは江戸へ年貢米や地方の特産物を送り、帰りは江戸からの品物を地方へ輸送する集散地となることで発展した。江戸連で訪れたことのある千葉県の関宿(せきやど)や木下(きおろし)も江戸川・利根川水系に位置する河岸である。釜屋商人は鋳物業から始まり、廻船業で発展し、利根川水系の産物を活かした醤油や酢などの醸造業をはじめ様々な業種で活躍し、現在も釜屋の屋号を持つ企業が各地にある。松尾芭蕉が釜屋商人と深い縁があり、近江が芭蕉の第二の故郷で、墓が近江にあることをはじめて知った。また、小名木川周辺に釜屋の遺物があることを知り、あらためて巡ってみたいと思った。

以上     文責:山本 秀美



報告

7月講は、荒井孝昌講師の「歴史を裏から見る<1.江島生島事件 2.徳川慶喜の幕末>」で、参加者は現地14名、Zoom 23名でした。
江島生島事件が何故起きたのかを裏から見ると絶大な権力が大奥にあり、生類憐みの令に対する閉塞感が歴史的背景にあった。門限に遅れたことによる処分は一旦出ていた。政治的背景(大奥への反発、側用人への不満、月光院と天英院との対立、次期将軍問題)により処罰が重くなり江島は被害者だったのではないかとの内容であった。
徳川慶喜は15代続く将軍の中でも優秀な人物であったため先々の事が良く見え、周りの人が彼を理解できなかった。そのため言う事がクルクル変わる「二心殿」と呼ばれた。幕末は何時からかと言えばペリー来航(嘉永6年)からと考えられる。万延元年の咸臨丸がアメリカに行った事が幕府最後の華やかな行事であり、桜田門外の変により幕府の中心となる人物がいなくなった。そこから慶喜の幕末が始まった。
徳川綱吉の生類憐みの令と共に綱吉の評価が現在の教科書等によれば、私が学んだ事や認識と異なっている事に歴史認識の難しさを感じました。講師の詳細な説明は分かり易く歴史を裏から見るのは面白いと思った講演でした。

以上     文責:小嶋 光



報告

6月講は、河内聡子講師の「「病」の想像力-江戸時代の医書をめぐる文化史」で、参加者は現地15名、Zoom 18名でした。東北大学附属図書館(狩野文庫)の蔵書である『奇疾便覧(きしつべんらん)』(五巻)の解読・分析・研究を通して、江戸時代の人々が“病”についてどのようなイメージを持っていたか、大変興味深いお話を伺うことができた。『奇疾便覧』とは、摂津(大阪)の医者である下津寿泉(しもつじゅせん)が、132点もの中国の文献(漢籍)から「奇疾」の例172種を摘録・編集し、「国字」に書き改めてその症例と処方を説いた書物である。「怪」の症状(身体の不調や病)を語らないことは、医業に携わる者としては、その道の欠陥に当たるという考えに基づき、医学のために役立ててほしいという願いを込めて編纂され、実際に「医書」として受容され、使用されたとのこと。後には『怪妖故事談』と改題して再版され、一種の「読物」として楽しく読まれたことに驚いた。江戸時代の人々が病を恐れるだけではなく、ときにはユーモアもまじえて病に立ち向かっていたことをあらためて知るよい機会となった。

以上     文責:山本 秀美



2022年5月講「じゃがたらお春の研究」ー17世紀ジャガタラ移住日本人女性のグローバルな世界での活動についてー

日 時:5月28日(土)午後2時~4時
場 所:高井戸区民センター第1・2集会室&オンライン(Zoom)配信
講 師:白石広子氏(江戸連会員) 歴史学博士PhD(青山学院)
    主な著書:「じゃがたらお春の消息」「長崎出島の遊女」「バタビアの貴婦人」他、論文多数
会 費:会場参加 会員1,000円、非会員1,500円
    Zoom参加 会員500円、非会員1,000円

報告

5月講は、会員の白石広子講師の「じゃがたらお春の研究」で、現地とオンラインの開催でした。長年に渡る研究成果の一部を発表いただく機会ともなり、74名と非常に多くの方が参加されました。「じゃがたらお春」という言葉を聞いたことはありましたが、今回初めて詳しく学び、イメージが覆されました。実の父親はイタリア人だったが、母親がイギリス人と奉行所に届け出たために、キリスト教禁教のあおりで、バタヴィア(現在のインドネシアのジャカルタ)に追放になったこと。日本への贈り物と一緒に送られた「ジャガタラ文」と呼ばれる手紙が発見されていること。江戸時代初期に貿易拠点として栄えた街で、国籍や国益に縛られず、遺言書で残すほどの財産を築いたこと。お春をはじめとする日本人女性移住者達は、日本から見知らぬ土地に追放された悲劇の人々ではなく、世界に開かれた土地に順応し、グローバルな社会で活動・活躍したバイタリティに富んだ人達だったということをあらためて知ることができました。個人的には、ジャガタラ文と一緒に日本に送られた布製品(更紗や毛織物)に興味があり、またの機会にお話を伺えればと思いました。

以上     文責:山本 秀美



2021年度総会および4月講「北前船と遊里-北国の遊里を中心に」

日 時:4月23日(土)
    14:00~14:45 総会
    15:00~17:00 4月講「北前船と遊里-北国の遊里を中心に」
場 所:東京ウイメンズプラザ&オンライン(Zoom)配信
総会議題:2021年度活動報告および決算、2022年度活動計画および予算、その他
4月講講師:渡辺憲司氏 立教大学名誉教授 2018年江戸連4月講・講師
会 費:会場参加 会員1,000円、非会員1,500円
    Zoom参加 会員500円、非会員1,000円

報告

4月講は、渡辺憲司講師の「北前船と遊里-北国の遊里を中心に」で、北前船航路の北陸地方および東北地方の日本海側のいくつかの遊里について、江戸の吉原との違いや特徴を伺いました。現地参加者20名、Zoom参加者25名と、多くの方に参加していただきました。2018年4月の「江戸遊里の記憶~遊里の光と影」から4年ぶり2回目のご登壇でした。最初に北海道の民謡「江差追分」を聴き、江差の遊女のことが歌われていることをはじめて知りました。個人的に江差は何度か訪れていて、「江差追分」も耳にしたことはありましたが、ニシン漁で栄えたところという認識しかありませんでした。江差や青森の鰺ヶ沢、山形の酒田、福井の三国など、北前船の寄港地として栄えた町には沢山の人やお金が集まり、地方の食や文化が運ばれ、商人や職人を中心とした自由な気風があふれていました。そこに形成された遊里も、吉原とは違う自治・自由の精神を持ち、地方の文化が引き継がれて独自の発展を遂げました。先生のお話は2時間では収まらない内容で、現在まとめているという「岡場所雑記」についても是非伺いたいと思いました。

以上     文責:山本 秀美



2022年3月講「江戸連・NPO法人登録20周年記念」

①任意団体当時の江戸連の活動とNPO法人化    野津弘氏(理事)
②NPO法人登録から20年の歩み          圓山稔氏(代表理事)
③江戸連機関誌発足から今日まで          長谷田一平氏(理事)
④特別企画、江戸連歩み-映像アーカイブ

日 時:3月26日(土) 午後1時半~4時半
場 所:日本橋伊場仙ビル7階会議室&オンライン(Zoom)配信
会 費:会場参加 会員1,000円、非会員1,500円
    Zoom参加 会員500円、非会員1,000円

報告

江戸連の発足時の話(発足時からの理事である野津氏と吉田氏)やその後の江戸連の歩みや問題点など(圓山氏)や機関誌発刊時のエピソード(初代機関誌担当理事の長谷田氏)がなされた。また、20年に及ぶ活動の様子を映像としてまとめた「江戸連アーカイブス」(新実前代表理事や長谷田氏らがまとめてくれた)を約1時間流したが、写っている会員たち(亡くなった方を含めて)の笑顔が印象的であった。

以上     文責:圓山 稔



2022年2月講「江戸の犯罪と刑罰」

日 時:2月26日(土)午後2時~4時
場 所:新宿歴史博物館2階講堂およびオンライン(Zoom)配信
    新宿区四ツ谷三栄町12-16 03-3359-2131
講 師:大久保治男氏  2021年江戸連6月講・講師
             駒澤大学名誉教授、武蔵野学院大学名誉学長
             日本法制史専門
参加費:会場参加 会員1,000円、非会員1,500円
    Zoom参加 会員500円、非会員1,000円

報告

2月講は、大久保治男講師の「江戸の犯罪と刑罰」で、現地とオンラインの開催となり、参加者は34名と多くの方が参加されました。最初に江戸幕府の刑罰の思想・主義・特色を学び、次に様々な刑罰の種類を系統立てて学ぶことができました。幕藩体制を維持するために、悪いことをすればそれに応じた罰を与えるという応報刑思想に基づき、公刑主義に則って見せしめのために刑罰が公開されていたとのこと。時代劇のお裁きや拷問のシーンを思い出し、背筋が寒くなりました。また、2019年5月講「江戸の刑罰におけるお仕置場の役割-鈴ヶ森と小塚原の空間と機能-」で学んだ鈴ヶ森と小塚原の刑場は、江戸に入ってくる人たちにとって、江戸で悪いことをすればこんな悲惨な末路になるのだという抑止力の意味があったことをあらためて理解しました。「土壇場」や「どさくさ」、「あごを出す」の語源に関するお話も大変興味深く、「岡っ引き」の「岡」は仮という意味があり、十手を持つ同心の代わりに仮に逮捕する者から来ているとはじめて知りました。現代のように科学が発達していなかったため、証拠ではなく自白に基づいて裁くのに拷問が許されたことや、「目には目を歯には歯を」にも似た応報刑思想により罪が裁かれ、抑止力として公刑主義に則っていたことは、混乱の戦国時代の後に、江戸幕府が260年を越える幕藩体制を維持するためには必要だったのだろうと感じました。

以上     文責:山本 秀美



2022年1月講「新宿山ノ手 七福神めぐり」

日 時:1月9日(日)午後1時
集合場所:JR飯田橋駅西口(新宿寄り)改札口前広場
コース:飯田橋駅~神楽坂~①善國寺(毘沙門天)~地蔵坂~御徒組屋敷(大田南畝ら)~
    ②経王寺(大黒天)~大江戸線「牛込柳町駅」(乗車)~大江戸線「東新宿駅」(下車)~
    ③稲荷鬼王神社(恵比寿)~④永福寺(福禄寿)~⑤厳島神社(弁財天:朱印は西向天神で)~
    ⑥法善寺(寿老人)~西向天神~⑦太宗寺(布袋尊)
    (所要時間:2時間半程度)
参加費:会員1,000円、非会員1,500円
その他:新年会はありません

報告

1月講は新宿山ノ手 七福神巡りで、晴天に恵まれた久しぶりの街歩きとなり、外部の方も含めて24名が参加されました。案内役の松本氏、小嶋氏、圓山代表理事の順に、3グループに分かれてJR飯田橋駅西口を出発。最初は、神楽坂の善国寺(毘沙門天)にお参り。地蔵坂、大田南畝も住んでいた牛込御徒組屋敷のあった通りを経て、経王寺(大黒天)に到着。こじんまりした境内に沢山の小さな仏様が並び、ほっとする空間でした。大江戸線牛込柳町駅から電車に乗り、東新宿駅で下車、稲荷鬼王神社(恵比寿)に到着。恵比寿神社の鳥居の上に船が飾られており、驚きました。次は永福寺(福禄寿)。新宿にいるとは思えないほど静寂に包まれた場所でした。賑やかな通りを経て、厳島神社(弁財天)へ。境内を南北に通り抜けできることから、苦難を切り抜けられる抜弁天として庶民に信仰されたそうです。住宅街の細い道を通って法善寺(寿老人)に到着。境内の案内板にあった「七面明神像」を探しましたが、通常は非公開ということで拝見できず残念でした。厳島神社(弁財天)の御朱印がいただける西向天神社には、幕末築造の富士塚「東大久保富士」がありました。最後の太宗寺(布袋尊)は、江戸時代の宿場「内藤新宿」の中にあったことから、多数の参詣者があり門前町も発展したとのこと。布袋尊のほかに、江戸六地蔵の一つ「銅造地蔵菩薩坐像」や、「閻魔像」、「奪衣婆像」、「内藤家墓所」があり、とても立派な浄土宗の寺院でした。

以上     文責:山本 秀美